2015年12月5日土曜日

12/5 全体稽古①


出席者:荒川、楠、大休、出村、藤田 他見学者1
担当:三田村

さて本日、11月のプレ稽古を経て、Zombie-months creationの本格的な稽古がいよいよ始まりました! 
最終的に参加者は筒井潤・伊藤拓也の2チームのどちらかに分かれて作品創作を行うのですが、年内はチーム分けをせずに、2人の講師による合同稽古となります。



簡単な挨拶の後、まずは筒井潤さんによるワークから。

・自己紹介 
まずは稽古初回ということもあり、全員の「自己紹介」から。 
終了後、メモを取りながらタイムキープしていた筒井さんから様々な気づき・指摘が出ます。
住まい・出生地・年齢が多かったが、自分と比較しやすく了解の範囲の広いトピックだからであろう、自己紹介の最中、人に質問を投げる人がいたのはどうしてだろうか(自己の形成には他者の意識が必要だからではないか)、自己紹介の時に他人の話をした場合、それを見ている人は何を見ていることになるのだろう、などなど。

・自己紹介中にあった2つの事件を振り返る 
まずは楠さんの自己紹介の最中、私、三田村がPCを起動させるとskypeの起動音が稽古場に鳴り響いてしまい、稽古場では苦笑が(失礼しました…)。その時の感覚について楠さんは「スべった」感じがしたとのこと。他の参加者からは自己紹介が行き詰ってそうに見えたのでいいヘルプになったんじゃないか、との声も。 
そしてもう一つ、実は自己紹介が始まる以前、筒井さんより参加者の大休さん・出村さんに、参加者荒川さんが自己紹介をしている最中に二人だけで喋りだして欲しい、と(荒川さん不在時に)指示を出していました。その指示はつつがなく実行されたのですが、その時流れた何とも言えない空気・感覚について、荒川さんは「これは一体何の時間なのかな」「出番は終わったのかな」と感じたとのこと。

2つの事件の意味するもの 
参加者に舞台芸術の魅力・特色とは何かについて問うた後、筒井さんよりこの2つの事件によって、自己紹介の場にあった何らかの契約関係が破棄されたのではないか、という指摘がありました。そして今回の作品では、観客と舞台の契約関係・私と社会との契約関係を作品化しようと考えている、という作品コンセプトが提示されました。そして参考文献として取り出した一冊の本が、社会学者アーヴィング・ゴッフマンによる「行為と演技」でした。
※比較的わかりやすいと思われる解説⇒http://www5f.biglobe.ne.jp/~mind/knowledge/basic/social01/socio003.html 

確かに一般的な舞台作品において、観客と舞台上のパフォーマーの間には「契約」と言い換えられるものが幾つもあることに改めて気づかされます。例えば観客は上演中大声で喋ってはいけない、舞台に上って演者に話しかけてはいけない等、観客は客席にじっと座っているものである、ということも一種の暗黙の契約になるのかもしれません。俳優が台本にある台詞を言うことも一種の契約でしょう。そうすると演劇とは、実に数多の契約の中で成立しているものだと感じざるを得ません。しかしそういった契約関係そのものを作品化する、とは一体どのようなものになるのでしょうか…? 
次回からの期待が高まる中で時間となりました。



続いて伊藤拓也によるワークです。

・輪になってのコミュニケーション
まずはプレ稽古でも行った、輪になってリラックスして雑談しながら隣の人の「足」をマッサージするいわば足コミュニケーション→その輪のままで一人ひとりが自身の知っている/考えたストレッチやアップなどを回してシェアしていくワークなどで和気あいあいと体を温めました。

伊藤が今年岸井大輔個展『戯曲は作品である』上演した、岸井大輔氏による戯曲「記憶の再生」。これはオーソドックスな演劇の台本というものではなく、一つの上演台本を創り上げるための一つの指示書とも言えるものです。伊藤がこれを上演するにあたって作ったいくつかの質問のやり取りを、イントロダクションとして実際に参加者にさわりだけやってもらいました(自分の名前、生年月日、血液型、出生地、配偶者の有無、有名人芸能人でいうと誰に似ているか、等)。
因みに「記憶の再生」について、私は伊藤の上演は残念ながら観られなかったのですが、同じく岸井大輔個展における羽鳥嘉郎氏による上演「遠く」が所謂上演というものへの固定観念を良い感じで破壊してくれる興味深いものだったことを記しておきます。

・宿題
伊藤からも作品の流れ、ベースについて説明がありました。
一つの例として出した記憶の再生を巡ってのように、参加者間の演劇に対する共通言語を創るために宿題を出し、その答えを各自が持ち寄り提示する形で劇を創作していく、というものです。参加者の持ち寄る力も問われるでしょう。 

このZombie-months creationの一つの大きなコンセプトとして、既成戯曲を使用せずに舞台作品を創作するということがあります。そのため最終的にどのようなものが舞台上に立ち上がるのか、戯曲を使用する舞台に比べて、いい意味で本当に全くわからない模索の時期が続くはずです。
初回は欠席者もいたこともあり、一見静かな印象がありましたが、両演出家・出演者にとって共にスリリングな創作/模索が既に始まっていることを十分に感じさせる初回稽古でした。
さて、次回はいきなり稽古場を飛び出し、フィールドワーク(!?)の予定です。一体何が起こるのかまだ誰もわかりません!

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Zombie-months creationでは若干名、参加者を追加募集中です
スケジュールが合わずプレ稽古に来れなかった方や情報を知ったのが応募締め切り後だった方など、現在参加を検討されている方、興味をお持ちの方は、12月に行われる稽古へ是非足をお運びください。

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