2016年1月29日金曜日

1/23 筒井チーム稽古③

出席者:鄭、楠、浦長瀬、鎌田、杉本、佐々木、前田

えー、今週はなんやかんやで非常に忙しく、かなり遅れての更新になってしまいお詫び申し上げます…今回もかなり盛りだくさんの稽古レポです。

■チェックインからの…

さて、まずは筒井チーム稽古の恒例となっているチェックインから。

どうやら参加者の中には、稽古の無い時も頭の片隅でチェックインを意識している人がいる模様で、チェックインの時に喋りたい事柄が日々たくさん出てくるとのこと。「さておく」事柄をたくさんしゃべりたい、というのも変な話なのですが、確かにその気持ちはなんかわかりますねー。

前回の際は、浦長瀬さんがスマップの解散騒動を「さておいた」のですが、週頭に生放送され話題になった例の会見動画について、浦長瀬さん・筒井さんを中心にあの会見は一体何だったのか?という検証が始まりました。
そこで筒井さんより、最近見た何かの記事に、あの会見は「クレムリノロジー」だ、という指摘があったとのこと。
「クレムリノロジー」、ロシアの政治・政策の研究分析の一種らしいのですが、私初めて聞きました。そしてちょっと調べてみるとこんなまとめも。…非常に興味深い。チーム内の立ち位置を変えることがチーム編成を変えますよということを意味しており、メンバーもそれを引き受ける宣言をさせられている、核心を語ることなく如何にかいくぐるか・表現によって逆に何が隠されているのかなどなど…様々なことが見えてくるではありませんか!

■前説とは何か

スマップ会見の話題はそこそこに、ワークに突入です。
まずは、舞台作品の開演前に行われるあの「前説」について筒井さんの考察です。



前説での注意事項でよくあるのが、携帯電話を音・振動の出ない状態にする、飲食喫煙厳禁、撮影厳禁、あたりでしょう。
例えば携帯電話にまつわる注意に関していえば、①演出効果の妨げになるから(作品の実現化の邪魔をするな)、②他の観客の迷惑になるから(他の客の観劇の邪魔をするな)、という、作品と観客、二つの領域に跨る理由が考えられるが、それはどういうことなのだろう? なぜ「前説」は必要なのか?それはつまり「劇場」を成立・実現化させるために必要なのではないだろうか?
…と、筒井さんから一つの仮説が示されました。

■(ちょけた)前説を皆でやってみよう

これを念頭に置いたうえで、筒井さんからは「「ちょけた前説」を皆でしてみよう!」という提案が!?どういうちょけかたでもいい、とのこと。
そして約5分のシンキングタイム後、以下のありえない前説の光景が私の眼前に次々と展開されたのでした…

・前田

極度の緊張状態にあるらしい人の前説。私には泣き女に見えました。激エモーショナルに見えたってことです。
上演本編に関わりないものであるとしたら最低笑、との評価。
・鄭

うん、適当というかラフというか。言いたいように言っているねとのこと。
笑えそうで笑えないところが怒りを感じるという絶妙な評もあり。 
…実はこの微妙な塩梅が後のワークにつながってきます。







・佐々木

片手できつね・口を作ってパクパク。筒井さんいわく「実現できていない腹話術」に失笑多数。
本人も片手も両方喋ってます。しかも無駄に尺が長いことに怒りを感じるとの評もあり。








 
・鎌田

まさかのビートたけしのモノマネ。ダンカンこのやろう。似ているわけがない。破壊力抜群でした。
たけしも観客も含め全方向を馬鹿にしている姿勢が感じられる、との評あり。







 
・楠

低姿勢でまあ好印象ですが無駄に丁寧すぎ+必死で、なぜか笑えてきます。
へりくだりすぎて客を馬鹿にしている、との評あり。確かに。









・杉本

丁寧だけどどこかラフでもあり、話まとまって無い感が妙に面白い。
視線がどこ観ているのかわからないとの評も。










・浦長瀬

ホワイトボードに文字で表現しボードをバンバン。意外となかった形。ボードをたたく音が気持ちいいですね。
外国人には逆に伝わりやすいかもしれない…?










一通り見終わった筒井さんからは、様々な問題が提示されていると思った…というシリアスなコメント。
次は一旦違うワークをやり、また元に戻すので、今自分のやった前説を記憶しておいてください、と指示がありました。

■自己紹介

というわけで一旦違うワークに。
佐々木、楠、杉本の3人で、名前・出身地・身長の3項目のみで自己紹介します。
しかし佐々木くんは出身地に関して嘘をつき、楠さんは身長を1センチ嘘をついています。
これ、そうと言われなければわからない、非常に微妙なウソです。


筒井さんの中では、ポストドラマ演劇においていかにも私です、という体で出てくるパフォーマーの「本当」とは何か、なぜそう信じるのか、何を本当とするのか、に関して思うところがあるようで、その点は本作でも後々追及していくかも、とのことでした。

■再び(ちょけた)前説へ

予告通り再び前説に戻ります。

筒井さんからは、まず「ちょける」=自己の実現化=エゴの発現である。
そして全員の前説を見た中では、鄭さん・杉本さん・楠さんは本当にあり得るかもしれない―つまり、俳優としてちょけた前説をして下さい、という指示の下で出てくるからちょけていると見えるが、本当に前説で上記の3名のような状態の人が出てきたとすると、その人がちょけているのか本気なのか微妙だと感じる―つまり、本当にそういう前説をする人がいるかもしれないと感じられる、とのことでした。
中でも、鄭さんが一番「微妙」で、それが面白かった、と。

■鄭さんの(ちょけた)前説を元に

筒井さんは鄭さんの「微妙」な塩梅のちょけた前説に何かを見出したようです。

というわけで次のワークは、鄭さんに先ほどの前説を出来るだけ再現してもらいながら、周りに座ってそれを聞く他の参加者が、鄭さんの「エゴ」が前説を超えて出たと感じた瞬間にパッと手を上げる、というものです。


挙手に慎重な参加者からは難しいが段々わかってきたという声もあり、当の鄭さんからは あまりエゴみたいなものはなくちょけるということが苦手なのです、とのこと。

■恒例のピクニック

続いてこれも筒井チーム恒例のワーク・ピクニックです。
前回から付け足されたのは、ワーク中のある出来事や要素に対して、この要素こそピクニックを実現化させるため必要、と思った時、前に出て観客にそれが何かを伝えて(慌てて話す必要は無し)、何事もなかったように元に戻る、というものです。
飽きてきても同じ事をして下さい!という筒井さんからの檄も(?)飛びます。


今日は上演に向けて、このワークの中に戦略的に出来事を起こしてみたい、という筒井さん。
ネタバレの可能性無きにしも非ずのため詳しくはアップしませんが…決して嘘はつかず明言もせず、暗に意味させながらある危機的状況をどうかいくぐるのか、という、稽古の冒頭でも話されていた、スマップ生会見の裏で進行していたであろうことが図らずも(?)このピクニックのワークの中で試されようとしていた、とだけ書いておきます。

筒井チームの稽古は一見関係ないような雑談まで、色々な点が線で繋がってきます。それが非常に思いがけず面白いのです。

鄭さんの(ちょけた)前説を元に:その2

再び鄭さんの前説を元にしたワークに戻ります。

先ほどのものは鄭さんの前説を聞く参加者が、鄭さんの「エゴ」が前説を超えて出た、と感じた瞬間にパッと手を上げる、というものでしたが、加えてどういうところにエゴを感じたのかコメントも付けてみよう、と指示が。コメントを喋っている間、鄭さんはストップモーションになります。


参加者からは、「ゆうても」を連発する、登退場の仕方、渋そうな顔、しがない小劇場という言い回し、などなどどんどん出てきます。
鄭さんは中々大変そう。ディスられてる気分になる、口癖もエゴだけど、という前置きの上で当たっていることもあるし単なる口癖もある、とのことでした。

筒井さんの言う通り、上演と結びついた様々な前説はありますが、「劇場」のみを実現化するのであれば、出来るだけエゴを消した前説の方が、作品の上演に向けて無駄な色の無い劇場を作るためには重要なのだと、様々なエゴ=ちょける前説を観て実感した次第です。

というわけで筒井チームの稽古、今回も非常に興味深かったです。
なんといっても今後、前説を観る目が変わるかもしれない…そして自分がやる時も気を付けよう…

以上、三田村でした。

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